先日、銀座蔦屋書店にて販売がスタートした、コムタンの日めくりカレンダー「366 KOMUTAN」。めくると、366日毎日違う表情のコムタンが登場し、早速ご好評いただいているこのカレンダー。作った背景や撮影の裏話、スタッフお気に入りの写真など、ここでしか読めないお話をたっぷりご紹介します!
日めくりカレンダーのアイデア
—まず、今回のカレンダーはどういう経緯で作られたのでしょう?
太田:現在、クリスマスフェア開催中の銀座蔦屋書店の岡田さんにCat’s ISSUEのカレンダーを提案されたのをきっかけに、色々検討して、我が家のネコ、コムタンの日めくりカレンダーを商品化することになりました。
内容については、まず、前提として、私のインスタグラムの個人アカウント(※1)で、コムタンと息子(愛称:セコム)が横に並んで一緒にご飯やおやつを食べている様子をアップする #コムとセコム並んでモグモグ というハッシュタグがあるのですが、それを心待ちにしてくださっている方が多くて。
息子には「ネコも人間も区別なく同じように大切に思える人に育ってほしい!」という思いもあって、1歳頃から一緒に並んで食事を食べるのが習慣になっているのですが、最近は、食べている時に私が見ていなくても上手に食べられるようになってきて、撮影頻度は下がりました。でも、久しぶりにアップすると反響があって、待ってくださっている人がいるんだなと思いました。
コムちゃんがテーブルについている姿って、飼い主の私が言うのもあれですが、本当にかわいいな、いい絵だなと思うんです。
ただ、本当に食べているものはささみやカリカリでグラフィック的には寂しいから、フェイクで、いろいろなものをコムちゃんの前に置いて写真を撮ったら楽しんじゃないかなと思って、デザイナーの渡部さんに「どうだろう?」って話したのですが、それが10月中旬でした。
日めくりは撮影も大変だから、年末までにお届けするには間に合わないなと思って。だから年内に間に合ったのが奇跡!

渡部さんが描いた最初のラフ
佐藤:最初の撮影が10月下旬でした。コムちゃんがこれだけ前面に出ている商品は、実は初めてですよね。
太田:猫を飼っている方は基本的には自分の家の猫が好きだし、人の家の猫なのに366枚も並んで、押し売りするような商品ってどうだろう?とも思ったんですけど、私自身がほしいというところもあって。あと色々な理由で猫と暮らせない方もいらっしゃるので、一緒に暮らしているような気持ちになれたらいいかなって。
年内に間に合わなかった場合も考えて、日付だけのシンプルな表記にすれば、来年以降も使えるし、とりあえず撮ってみようと思いました。コムちゃんが、元気なうちにたくさん写真を撮っておいてあげたいという思いもあったんです。
—カレンダーのアイデアを聞いた時、どう思われましたか?
渡部:まずコムちゃんが、一気にたくさん写真を撮られるのは大丈夫かなと心配でした。うちの猫だったら1カットだけで終わっちゃいそうな撮影だけど、コムちゃんは普通の猫とは違うから、やってみるかと思いました。366枚撮れそうもなければ、50カットくらいでできる週めくりに方向転換しようということになりました。でも意外とできちゃった(笑)。
太田:猫が関係のない仕事の撮影で、呼んでもいないのにいつもカメラの前にコムちゃんがどかんと座るので、ある程度大丈夫かなという勘はありました。だから、366枚撮影ができる準備は最大限しておこうと。それで撮影が始まって1時間くらい、わーっと集中して撮ったら50枚くらい撮れたんですよ。
佐藤:初日で半分近く撮っていますからね。
渡部:1日目の目標が183カットでした。それで3日間。
太田:初日に気合を入れて、いけるねって方向性が見えました。座っていられる猫ってなかなかいないと思うんですけど、コムちゃんは案の定けっこう座ってくれていて。普段は、飽きるとクローゼットなどに隠れちゃう事もあるんですが、部屋からも出ていかないし、休憩と言ってもソファに降りてくるくらい。
渡部:ちゃんと参加している感じがしましたね。たまにする休憩時間に、コムちゃん自ら休憩に入って。
太田:トイレに自分で行って、また戻ってきましたね。
渡部:感動しました。「コムちゃーん!」って。
太田:あと、何度もコムちゃんを撮ってくれている、カメラマンさんの神ノ川智早さんが最高で。
渡部:神ノ川さんのこと、大大好きだよね。
太田:大好きだと思うんですよ。いつもまずコムちゃんに挨拶して、帰るときも「今日はありがとうね」って挨拶してくれるんです。穏やかだけどサクサク進む撮影で。みんなでベルトコンベヤー式に、ものを出したりひっ込めたりしてました。
佐藤:用意ができた順番に撮っていきましたよね。
渡部:小道具を用意する人と、置く人と、それを下げる人って、仕組みを作って。
太田:下げるのも重要な仕事だってわかってきて。2日目からさっさとできるようになりました。あとカサカサ音を立てて、コムちゃんをこちらに向かせる人。
渡部:1カット撮るのに数秒でしたね。
太田:テーブルクロスが濃い色だったら、それに合うものを5、6個準備した状態で「さあ撮影」って。コムちゃんをどれだけ疲れさせないか、どれだけ早く準備ができるかが勝負。早く終えてあげるための工夫はいろいろしました。
佐藤:むしろルーティーンが確立されるまでは、コムちゃんが私たちのことを待っていてくれていた感じ。
太田:次のモチーフ待ちみたいな(笑)。
渡部:だんだんモデルさんのような気がしてきましたよね。
—写真は1発OKというのもありましたか?
太田:結構ありました。「もう一回撮らせて」ってこだわると、コムちゃんにもストレスがかかってしまうし。最終目標を「カレンダーができあがること」に標準を合わせてくれるカメラマンさんだったからこそできた感じです。あとは、撮ってから数日で入稿というスケジュールで、渡部さんと佐藤さんが頑張ってくれましたね。
撮影の様子
—撮影で気をつけたことはありますか?
太田:ストロボ(フラッシュ)をたくと、コムちゃんの目が黒くなってかわいくは撮れるのですが、たくさん撮るので目の負担が大きくて。だから、2日目までは自然光で撮るようにしました。猫って部屋が明るいと目が細くなるので、ほとんどの写真がワニ目なんですけど、最終日だけ夜に少しかかってしまって、ストロボをたいたらめちゃくちゃかわいい写真が撮れた(笑)。でもワニ目も、目のグリーンの色がかわいいんですけどね。
—小道具はどんな感じで集めたんですか?
太田:食べものが中心でいこうという話にはなっていたのですが、食べもの以外ではコムちゃんに似合うもの。小さいものを「なんだろうこれ?」って、コムちゃんがのぞきこむのもかわいくて楽しいかなと思って。それから絵としてかわいいものを集めたら、絵として変化がつくかなと。あと、渡部さんが調べてくれた記念日。
佐藤:いろいろな記念日が何かしら毎日あって、それにちなんだものを集めたり。
太田:そう実は、UFOが飛んでいる日は「UFOの日」なんです。全部ちなんでいるわけではないのですが、記念日を手掛かりに探したりもしましたね。
渡部:あとは季節。ちょうど秋だったので、夏のものが全然揃わなくてたいへんでした。特に食べもの系。
太田:スイカやかき氷を入れられなかったのは、残念でしたね。
—順番はどのように決めたのですか?
渡部:記念日をまず当てはめて、季節感のあるものを入れて、あとはばらけるように入れていきました。月一くらいで、尻尾だけとかのオフショットを入れて。
太田:あとこれは隠しコマンドなのですが…。コムちゃんの誕生日は公表していないのですが、誕生日ケーキの前に座っている写真があって、誕生日がわかるんです。買った人にだけわかる特典ですね。
—コムちゃんが喜んだアイテムはありますか? (※カッコ内は写真掲載日)
太田:ラムネ(5/4)。1個かじっちゃった(笑)。
佐藤:あと、かつおぶし(11/24)
太田:かつおぶしはお疲れの意味も込めて最後のカットにして、食べてもらおうと思って、山盛り用意したんです。
—逆に撮るのが難しかったものはありますか?
太田:和菓子ですごく色が淡いものがあって、淡すぎて写真に写らないっていうのがありました。
あとうちの旦那が、最近はまっている植物(4/24など)が多用されていて。最後の方でモチーフが足りなくなって、家中の植物を持ってきて撮りました(笑)。去年息子がサンタさんにもらった大きな恐竜のおもちゃ(4/17)も登場しています。
渡部:みんなそれぞれ、家から持ち寄って。もちろん買ったものやリース屋さんから借りたものもあります。
太田:あと印象的だったのが、「エリンギ(10/15)はさすがに絵にならないですよね」って言ったら、神ノ川さんに「いや、案外いけます!」って言われて、できあがったのを見たら結構きれいで。
佐藤:シュールですよね。最後の方は絞り出す感じでした。
太田:2カットでてくるスキーの写真(2/24、12/10)は、2枚セットでくすっと笑える、お楽しみカットです。
スタッフお気に入りの写真
—みなさんのお気に入りはどれですか?
渡部:私はUFO(6/24)かな。
太田:かわいくて、マグカップにもなりました。これ、紙工作なんですよ。ピンセットで作るレベルの工作だから、簡単に作れなかったんですよね。
渡部:本当に小さい紙の組み立て式のミニチュアで。全体的にコムちゃん用に、モチーフは小さいものを揃えたんですけど、これはあまりに小さすぎて、平面の紙から切り出して、1から組み立てて作らなきゃいけなかったのが大変でした。
太田:マイクの写真2カット(1/19、12/29)も。ちゃんと答えているのと、無視しているの(笑)。怒ってるよね、これ。
佐藤さんはこのさつまいも(10/13)が好きって言っていましたよね?
佐藤:なんかかわいくて好きなんですよ。さつまいもの色がコムちゃんに合っていて、サイズもいい。じっと見ているところもまたかわいくて、好きですね。
渡部:私はこの湯のみ(8/29)も好き。コムちゃんがペロッと出した舌と、金魚の赤が合っていて。
太田:あと亀(10/17、18)。亀はシュライヒ(おもちゃのフィギュア)なんですけど、2枚目で舐めている(笑)。普段そんなに舐めないのに、美味しそうって思ったのかな?
佐藤:これは並べようってなりましたよね。好きな写真がたくさんありすぎて、あげているときりがないですね。
太田:このサメ(8/10)もかわいい。目をつぶっているのは、怖くてじゃなくて、ただ眠いんです(笑)。あと大きな瓶(1/30)も、テーブルの上に乗っちゃったんですが、全身が写っているのを1枚残せてよかったと思いました。お尻が写っているのも1カットだけハチミツの写真(8/3)。それから唯一顔がこちらを向いていない、鳥の絵を見ている写真(6/17)。
佐藤:あ、この横姿(11/17)も切なくてかわいいですね。
太田:コム玉(1/12)も横顔でしたね。耳がクシュっとなっているんですよ。あとこれは100%コムちゃんの自毛です。コム玉って呼んでいるんですが、換毛期に抜いて作った5年もの。
全体的にワニ目で、あまり興味なさそうな感じがずっと続くのが、全体通してみるとじわじわきます(笑)。
Cat’s ISSUE縁のアイテムも
太田:実はこのなかに、Cat’ ISSUEがいつも仲良くしてもらっているアーティストの作品がたくさんあって。クッキーや手袋、マグカップ、マトリョーシカも。

アイシングクッキー作家:kikko(8/20など)、マトリョーシカ作家:murmur in the Soda(3/3)
あと、過去にCat’ ISSUEがプロデュースして作った商品も出てきます。

絵本作家:石黒亜矢子(8/27)
「Afternoon Tea」さんのネコマグと花瓶(6/2、9/25)とか。
「PLAZA」さんと作ったTOBY THE CATのスノードーム(5/17)とか。
そのほか、好きで購入したさまざまなアーティストの作品もたくさん載っています。
デザインについて
—月の初めは全部数字になっていますね。
太田:重要な222のネコの日(2/22)も数字で表現。でもあまり冴えない顔をしているっていう(笑)。
—表紙にこの写真が選ばれた理由は?
太田:最初はプリンかUFO、りんごとかカラフルでおしゃれな感じのものか、コムちゃんがかわいい顔をしているもの、面白いものの3択で考えていたんですけど、そんなにおしゃれにする必要ないのかなって。やっぱり楽しそうと思えたほうがいいなと思って選んだんです。
香港のおもちゃ屋さんで買って来たカチューシャなんですが、押すとチカチカ光って、うちの息子がすごく喜んでつけていたもの。これがのぞいていると面白いねって。そんなワクワクする、クスッと笑える感じを伝えたいというのがあって。
もちろんおしゃれにも見えたいんですが、それよりもコムちゃんと暮らしている楽しさが、表紙で伝わるといいなと思ったんです。
あと、これは2019年向けではないというのもあるんですけど、閏年※2の人生まれの人(2/29)がいたらかわいそうだな、と思って、366日分作っているんです。
太田:それからタイトルに入れた「Life is so much better with KOMUTAN」。
佐藤:「コムタンのおかげで毎日が楽しい」。
太田:マグカップにも入れた言葉なのですが、毎日一緒にいるみたいな気持ちになってくれたらいいなというのと、「自分が愛情を向けたい対象と一緒に暮らすことって、毎日いろんなことがあるけどやっぱり楽しいよね」っていう気持ちを込めて作りました。
だから食べものやいろいろな雑貨が出てくるし、表情もいろいろ(笑)やっぱり日めくりにできてよかったです。月ごと、週ごとのカレンダーと日めくりでは、意味合いが変わってくる。
佐藤:日めくりじゃなかったら、そのタイトルはつかなかったかもしれないですね。
太田:そう、誰かと一緒に暮らしていると、たとえ平坦な日常でも、お互いに毎日ちょっとずつ変化していて、よく観察すると、いろんな驚きや楽しみがあるよねって。
—めくり終わったものは、どんな使い方がおすすめですか?
太田:めくったカレンダーを箱に入れておけば、誰かの誕生日にメッセージを書いたり、メモ帳として使ったりできるから、絶対に箱を作りたいって思ったんです。気に入ったものは飾ってもらえたら。写真部分を正方形にしたので、日にちの部分をカットしてもかわいいです。
—最後に、今回作ってみていかがでしたか?
渡部:大変は大変でしたけど、全部楽しかったです。
太田:だんだんアスリートみたいな気持ちになって、撮影の際はチームワークが10連続くらいでうまくいっているときとか、達成感がすごくありました。
佐藤:抱き合いましたもんね、最後。
太田:マラソンを完走した気分でした。
渡部:来年は徐々に撮りたいですね。
佐藤:最低でも4回に分けて季節ごとに。スイカ入れられるかもしれませんね。
太田:個人的にはこのカレンダーを長く使ってもらえるもの嬉しいけれど、第2弾もできたら幸せです。今度はコムちゃんだけじゃなく、いろいろな猫ちゃんに参加してもらうのもいいな。
たまにサバ美ちゃん※3が出てきたり、Cat’sISSUE周りの猫ちゃんに登場してもらって、盛り上げられたら楽しいだろうなと思います。
※1:Cat’s ISSUEディレクター、太田メグの個人アカウント @megmilk5628
※2:閏年/2月29日。4年に1度、366日ある年。
※3:サバ美/歌手の坂本美雨さん宅のネコ。耳にさくらカットあり