【Short Interview】
Tsutomu Date

今回は、Cat's ISSUEの「KOMUTAN T-shirt」のために劇画タッチでコムタンのイラストを描き下ろしてくださった、イラストレーターの伊達努さんにお話を伺いました! 

Cat’s ISSUE(以下Cat’s):絵の勉強はどちらでされたのですか?

伊達 努(以下伊達さん):

現、京都芸術大学(当時:京都造形芸術大学)の洋画コースです。

Cat’s:絵描きになろうと思っていたのですか?

伊達さん:

自分では意識的に絵描きになろうという夢はなかったんです。大学を出たらなんとなく普通に働こうと思っていました。自覚的にイラストレーションを描くようになったきっかけは、学生の頃は油彩画を専攻していたのですが、課題に間に合わなそうになったことがあり、ペンで描いた落書きの束を提出したんですが、それがいつもより受けが良かったという出来事からです。

こってりした絵の具の絵でもない落書きみたいな絵をアートとして提出していいんだと目から鱗でした。そして同時期にアメリカのオルタナティブコミックに触れて、急速に”脱洋画化””脱絵の具”していきました笑。「基本的に線画ベースで洋画ぽく絵の具も扱う」というスタンスはこの時からなんだと思います。

線画といえば80s〜のイラストレーションや漫画のほか、洋画でいうとベンシャーンの絵は昔からすきでしたね。漫画はゲゲゲの鬼太郎と北斗の拳がすきでした。

Cat’s:好きな絵がルーツになって自然と画風が出来上がったのでしょうか?

伊達さん:

自分では、タッチや画風は様々に使い分けているので、これと決まったオリジナルの画風やタッチがあるとも思っていなくて。嫌いな感じのものを描かないでいたら、いつの間にか、こうなっていたというのはあります。目的のイメージに合わせて、手段として絵のタッチを選ぶというやり方をしています。写真の方が伝えやすい場合は、写真でいきませんかと言いたいくらいです。 絵のタッチの話は同業者とすることもあります。 自分のタッチに個性があるとかないとか、誰に影響されてるとか。描く本人よりも、まわりの方が特徴が見えている場合もあって、面白いですよね。僕の場合、手とか靴の描写はモンキー・パンチの漫画の模写からきてると思っています。

Cat’s:意外です!過去の作品を拝見していて、どのタッチでも画力があるので、 ちゃんと伝わる絵を描ける方だなと思っていました。

伊達さん: ありがとうございます。 東京の美大を受験し全滅。自分は絵が下手だと思ってきたので嬉しいです(笑)。

 

Cat’s:そして、我々が伊達さんを知ったきっかけの「ダサイ曲をかけるパーティー」のチラシデザインについてお話を伺いたいです。

伊達さん:

 「ダサイ曲をかけるパーティー」は古い友達のDJ諸行亭夢常の主催で、自分はビジュアルで関わってきました。

Cat’s:音楽の人がたくさんフューチャーされていて、モチーフになる人物や物との組み合わせが面白いですよね!スヌープのTシャツ(スヌープドックがお茶を摘んでいる絵)も素晴らしかったです!制作に際し、何か心がけていることはありますか?

伊達さん: 仕事でもそうですが、基本的には中身をできる限り消化してから描くように心がけてます。絵がきっかけで知らないことを知る機会にもなるので。WASH HANDS ポスターの元ネタのYMOのレコードは高校生くらいの時にすきで聞いてた1枚でした。(手を洗っている絵は、もともとYMOのレコードのイメージから) スヌープのはこの人ならこんなことしてもおかしくないシリーズです(笑)。

Cat’s:さかなくんの絵が素敵だと思いました。
 
伊達さん: このさかなくん風のDJは「ダサイ曲をかけるパーティー」スピンオフ企画の展覧会を開催した時の絵です。もし「さかなクン」がDJをしたらどんな選曲をするか、想像すると楽しいですね!

Cat’s:面白いですね!!イベントは、一見ゆるそうな企画ですがしっかりメジャーなDJ陣も参加していて、、

伊達さん:そうなんです。最初は小さなバーのVOXXN CAFEというところで開催されていたんですが、いつの間にかすごくデカくなっていた感じです(笑)。  イメージ的なところはゆるいですが、DJ陣は毎度シビアな状況の中やっていただいていたんじゃないでしょうか。 ダサいというテーマで滑らないように選曲するのはすごく難しそうです。

Cat’s:確かに、「ダサさ」って難しいですよね。

伊達さん: だんだんとエスカレートしていって、自分で歌ったカラオケを流す本人歌唱DJも現れました。普段はシュッとしたかっこいいDJをされている方ばかりです。普段かけたくてもかけられないダサい音源を放出する、憂さ晴らしのような盛り上がりがあります!

Cat’s:それはすごい!興味深いです!関連イベントの「穴からDJを覗くパーティー」も面白そうでした。

伊達さん: コロナ禍にあって、ソーシャルディスタンスを守って、DJイベントを楽しめるというすごい企画です!6vol.2予定だったんですが流れました。

 

Cat’s:チラシの絵の話に戻りますが、ビジュアルが気になって、あとでイベントの内容を知る人もいるとは思いました。

伊達さん:

広く「ダサイ」が伝わっているといいなと思います(笑)。 個人的に最初にビジュアルで「ダサイ」を感じたのは小田島等さんの作品だったと思います。POPアートについての講義で、ウォーホルのキャンベルスープの缶は日本で言えばさば缶みたいなもの、なんてお話をきいて、レッテルを貼られてイメージが固定されてしまっているものが日常にも沢山あるから曇りのない眼で評価したいなあ、などと思いました。

 

Cat’s:最後に伊達さんと「ネコ」について教えてください。これまで、ネコという存在とはどう関わってきたんでしょうか?

伊達さん: 

現在我が家では、黒猫を飼っています。マリオン、6歳くらいの女の子です。伊達家のファーストネコで、兵庫県にいた保護ネコです。 ネコとの接点としては、奥さんが上海にダンスの修行に行った際、そこのBNBのシェアハウスで飼われていて出会ったネコがいて。知らない国へ行き、単身でダンスの修行に挑むという過酷な状況の中で、そのネコの存在にとても慰められていたそうで、、そんな経験から、我が家もネコと暮らそう!と決めて、速攻で家族に迎え入れました。 自分はもともとは犬派だったのですが、ネコ飼ったらもう犬のことはどうでもよくなりました(笑)。

Cat’s:今回依頼したコムタンの絵について、のっぺりしたネコなので、「劇画タッチで描いて欲しい」という我々からのオーダーは難しかったと思いますが、いかがでしたか?

伊達さん: 自分でも思ったよりうまく描けたと驚いています(笑)。

Cat’s:本当に大好評です! あまりにもいい絵なので、Tシャツのデザインとしてもプリントを思い切って大きくしました。

伊達さん: スムーズに出来上がりすぎて、修正のやりとりが少なかったですね! 早く着たいです!!

Cat’s:我々も、むしろすぐに出来上がってしまって。伊達さんとのやりとりが思っていたより早く終わってしまって、さみしかったです。

伊達さん: 僕も一抹の寂しさが…(笑)。うまくいってよかったです!

Cat’s:本当にありがとうございました!!

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伊達 努 illustrator

京都造形芸術大学美術工芸学科洋画コース卒業。
京都在住。 デザイナー・イラストレータ・似顔絵屋。 イラストレーションの活動としては、個展開催のほか、雑誌への掲載、CDジャケット、イベントフライヤーなどを主に制作。似顔絵の出店も行う。
〈お仕事〉
関西阿波踊り協会 メインビジュアル、『ダサい曲をかけるパーティー』アートワーク、クレイジーケンバンド ツアーTnobodyknows+ツアーグッズ、名古屋のカレー屋さんyanggaoのグッズ、雑誌「dancyu」「MUSIC MAGAZINE」、LINE MOOK「週末この一杯」、大阪の手ぬぐいCHILLの手ぬぐい など。

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